エプソンのHMD【モベリオ(BT-200AV)】をレビュー [IT全般]
エプソンのHMD、モベリオ(BT-200AV)を、しばらく使ってみたレビューです。
まだ、本格的に使いこなしているとは言えませんが、ボチボチと使ってみています。
なかなか面白い商品だとは、思います。
ただ、正直、商品としての完成度は、まだまだだと思います。
ちょうどサムスンの腕時計型ウェアラブル、Galaxy Gearの時と同じような感覚を持っています。
つまり「ウェアラブルの可能性は感じるけど、一般化するには、もう何ステップか必要」という感じです。
この辺りの感覚は、グーグル・グラスにも言えると思います。
それだけ、ウェアラブルという機器が難しいのも事実でしょう。
ただ、可能性は感じますし、以前と比べると、一歩か二歩手前くらいまで来ていることは、実感できます。
たぶん、腕時計型ウェアラブルのほうが、一般化するのは、近いと思いますが!(メガネ型は、もうちょっと先のようです。)
ここで、実際に、購入してから感じたことを時系列で見ていきたいと思います。
◆ファースト・インプレッション
◇アンドロイドです
基本、使い方、使い勝手は、アンドロイドです。
アンドロイド・スマホの画面がメガネ型ディスプレイに表示され、本体がタッチ操作&ボタンという感じ。
ただ、アンドロイドの本家、グーグルがやっているアンドロイド・アプリをダウンロードできるグーグル・プレイ対応ではないので、アプリは、モベリオ専用のところからダウンロードするようになっているのですが、まだまだアプリは少ないです。
裏技として、いくつか別に対応しているところがあるので、そこ経由でアプリを落とせば、通常のアンドロイド・アプリでも動くものがあります。
特にAmazonアプリストアは、モベリオを買った人に愛用されているようです。
でも、Amazonアプリストアが使えるから良かったものの、それがなければ、単体では、アプリが少なくて使い物にならなかったかも・・・
また、Amazonアプリストアが使えるといっても、正式対応ではないので、使えるアプリは入れてみないとわからないですし(特に有料のものは、勇気がいります)、縦横の表示など、ちゃんと対応できないものが多いのも事実です。
実際、目の前に表示されるといっても、スマホの画面がタブレットの大きさで表示されているくらいのイメージなので、HMDならではの特徴、例えば、画面が実際の視界と重なっているところとか、顔を動かしても画面がいつも目の前に表示されているとか、そういうHMDならではを活かせるアプリが出てきて欲しいところです。
やはり、HMDは、ハードだけではなくて、ソフトと一体化して、はじめて使えるものになるということをあらためて実感しました。
そういった意味では、グーグル・グラスのほうが、さまざまなアプリが出てきていますので、一歩、先を行っているのは、間違いないでしょう。
◇ミラキャストが不安定
また、ミラキャストという無線を使ったワイヤレスの画面表示(AppleのAirPlayのミラーリングのようなもの)に対応しているので、同じくミラキャストに対応したスマホ、パソコン、プレイヤーなどの画面を表示することもできます。
ただ、実際にやってみると、これが、かなり不安定。
ネットでも話題になっていますが、あまり、まともにつながりません。
私も、ウィンドウズ8.1でミラキャスト対応のレッツノートとレノボのタブレット(Lenovo Miix 2 8)を試してみましたが、接続はするのですが、表示が出てくれません。
いろいろとためしたのですが、今のところ、まったく駄目です・・・
かろうじて、ギャラクシーノート3の画面の表示はできました。
ファームウェアのアップデートで、もう少し良くなるといいのですが・・・
BT-200AVのほうを買ったので、付属のワイヤレスミラーリングアダプターを使えば、とりあえずHDMI出力を使って、パソコンの画面をモベリオに表示することができます。
これで、やっとレッツノートの画面を表示することはできました。
本当は、直接、つながるはずなのですが・・・
まあ、家で使うにはいいですが、外でパソコンをつなげるときは、直接、つながって欲しいですね。
また、遅延の問題があります。
これはミラキャストの規格そのものの問題なのでしょうか。
ミラキャストで接続したパソコンのポインタを動かすと、モベリオの画面のポインタが動くまで、ちょっとだけタイムラグがあります。
ゆっくり動かせば、簡単な操作上は問題ありませんが、反応の早いゲームとかはできませんし、ちょっと使いにくく感じます。
もちろん、映像とかを見る分には、再生ボタンを押すだけですから、そんなに問題ありませんが。
実際、モベリオは、パソコンと組み合わせた方が、面白いと思っています。
ひとつの画面に、いろいろな情報を並べて表示したいのですが、その点では、パソコンのほうがアンドロイドより上ですから。
高機能な本体が別にあって、その表示装置としてHMDを使う場合と、本体のみで使う場合の違いは、これから比べていきたいところです。
◆説明書から感じたこと
◇特殊な説明書
久々のHMDなので説明書の「安全にお使いいただくために」を詳しく読んでみました。
ここを読むと、製作側が、このHMDを、どう使って欲しいかがわかる気がします。
HMDという特殊な装置ですので、説明書を読むのも楽しみの一つです。
○歩きHMD
「本機の画面を見ながら歩行するときは、周囲の安全に十分配慮してください。事故、転倒、転落、歩行者との衝突によるけがにご注意ください。」とあるので、歩きながらの使用は、そもそも想定されていることがわかります。
○運転HMD
一方で、「自動車・バイク、自転車の運転、料理、その他危険な作業を行うときは絶対に装着しないでください。」とあります。まあ、現状では、妥当なところでしょう。本当は、こういうところこそHMDの本領発揮だと思うのですが。
○子どものHMD利用
また、子どもの利用については、「お子様(特に小学生以下)は、視覚が発達段階にあるため本機を使用しないでください。」と、やっぱり禁止されていました。これまで買ったHMDには、ほとんどこの記述があるのですが、本当にそうなのでしょうか。
○連続使用時間
連続使用時間については、「本機で映像を視聴するときは、定期的に適度な休憩をとってください。長時間の視聴による目の疲れの原因になることがあります。視聴中に疲労感、不快感などの異常や体調の変化を感じた場合に、休憩をとっても疲労感、不快感がとれないときは、使用を中止してください。」とあります。
特に何時間という数値的なものは出ていないので、とりあえず自分で管理してくれということでしょうか。実際、長時間の利用による健康への影響というのは、使い方にもよるでしょうし、個人差も大きいと思いますので、これからの普及に合わせて、具体的な指標が出てくる話なのかもしれません。
◆モベリオ用に買ったもの
○レンズフレーム用のレンズ
これは、前回、書きましたので省略。
○32Gのマイクロ・SD
とりあえず、外での利用を考えたとき、映像を見るというのはあると思います。いちいち、別の端末とつなぐのも面倒ですので、とりあえず本体だけで再生できるように外部ストレージとして購入しました。
A-DATA Technology microSDHCメモリーカード 32GB AUSDH32GCL10-RA1 新品価格 |
○メガネ用のバンド
レンズフレームにレンズを入れたことで、メガネを重ねてかける必要はなくなり、鼻や耳当てなども調整して、だいぶ安定はしたのですが、それでも、長時間、使おうとすると汗や振動の蓄積などでずれてきます。
ずれてくると表示が見えなくなるので、いちいち直さなければならないのですが、それは面倒なので、メガネ用のバンドを購入してみました。
あまり、きつくしめると辛いので、ゆるめにしてありますが、後ろにも支えがついたので、以前よりは、明らかに安定しています。
といっても、まだ、そんなに長時間、使ってはいませんし、外での使用も試していませんので、これからの使用によっては、止め方を変えたりするかもしれません。
◆これまでのまとめ
◇HMDの中での位置づけ
モベリオは、メガネ型のHMDですが、表示の仕方が、グーグル・グラスとは、根本的に違います。
グーグル・グラスは、メガネに取り付けて、視界の右上の方に小さな画面が表示されるというものです。
サブ画面のようなイメージで、外を歩いているときに最小限の情報を表示しようというものだと思います。
自動車を運転するときのコンパネのようなものだと思っています。
一方、モベリオは、直接、両眼のメガネのレンズに画面が表示されますので、視界の目の前に画面が大きく表示されます。
こちらは、コンセプト的にはARと言って、実際に見えているものと画面表示が重なることによって、いろいろと新しいことができるというものだと思います。
もちろん、コンセプト的には、ですが。
「電脳コイル」というアニメで表現されていた世界観ですね。
そういった意味では、グーグル・グラスの先のものだと思います。
その分、稚拙感を感じてしまうのですが(^_^;)
実際に使ってみると、メガネを覆うシェードの濃さを調整することによって、どのくらい画面がきちんと見えるかを調整しています。
何も付けない状態、つまり透明なレンズに画面が表示されただけの状態ですと、明るいところでは、うっすらと画面が見えるだけで、細かいところまでは見えません。
手で目の前を覆ったり、暗いところを見ると画面がくっきりと見えます。
一方、濃いサングラスのようなシェードを付けると、まわりの様子が暗くて、よく見えなくなる代わりに画面は、きちんと見えるようになります。
薄い色のシェードは、その中間くらいでしょうか。
どのシェードをつけると良いかは、その時の状況や使い方で変わると思いますが、「電脳コイル」のようにメガネからの視界に映像が綺麗に重なって見えるというわけにはいきません。
ここは、もう少し表示装置を工夫すれば、うまく出来るようになると思うのですが、もう少し先のことでしょう。
また、アプリケーションを作る側も、本来は、クロマキーのように表示する部分と視界として抜ける部分を考えた特殊な設計をしないといけません。
もちろん、そのようなつくりのアプリは、まだ出てきていないのですが・・・
◇目への影響
目への影響は、気になるところです。
以前、片眼のHMDを使いすぎて左目の視力が悪くなってしまった痛い経験がありますので。
片眼のHMDよりは、目に優しいと思いますが、だからといって目への負荷が、少ないわけでもなさそうです。
パソコンやタブレットの画面を見ている感覚とは違います。
感じ方としては、プロジェクターの映像を見ているような感覚なのですが、実際に、表示されているのは、目の前ですので、その分、影響は大きいかもしれません。
この辺りは、少しずつ使いながら、検証していきたいと思います。
◇アプリケーション不足
まだ、一般化はしないだろうと思うのは、ハード的な問題点、重いとか、接続が悪いとか、ケーブルがじゃま、というのもありますが、HMDとしてのアプリケーションがないことが一番の要因だと思います。
HMDじゃなきゃできない、HMDだからこそのアプリケーションが出てきて、それがハード的なデメリットを上回ったときにはじめて、こういった商品が普及するのだと思いますが、まだまだ出遅れている感じがします。
それでも、こういう商品が出てきて、そういった試行錯誤もできるので、グーグル・グラスを含めて、まだ発展途上なんでしょう。
◇映像観賞用として
HMDで映像を見るという用途には、もちろん使えます。
暗い部屋や濃いシェードをつければ、かなり綺麗に映像が表示されるので、HMDシアターとしての用途はあるでしょう。
ただ、家で使うことだけを考えれば、ソニーが、もっと高精細の映像観賞用の専用HMDを出しているので、そちらのほうがいいと思います。
モベリオの利点は、持ち出せると言うことでしょうか。
外で、手に持たずにHMDで映像を気楽に鑑賞するという用途では、モベリオが一番だと思います。
ただ、普段の1時間くらい電車に乗るだけなら、手にスマホを持って見る方が実際は手軽だと思いますし、やはり、新幹線で長距離移動するとか、深夜バスでの移動時など、長時間のモバイル視聴の際に一番、その力を発揮するでしょう。
◇寝ながらパソコン
私が、モベリオを購入した理由のひとつが「寝ながらパソコン」に使ってみたかったというのがあります。
持病があるので、自宅にいるときは、ずっとベッドで横になってパソコンをやっています。
今は、「ごろ寝デスク」と呼ばれているような商品を使って、寝ながらパソコンをしているのですが、それでも、少しは、体を斜めに傾けます。
この少しの傾きも、少しですが首に負荷をかけていることは確かです。
でも、HMDを使えば、完全に寝ている状態でもパソコンが見られるはずです。
キーボードをどうするかという問題は、ありますが・・・
先ほども書きましたようにミラキャストでの直接接続は、今のところうまくいっていないのですが、ワイヤレスミラーリングアダプターを使っての接続ができましたので、遅延はありますが、なんとか思っていたことができるようになりました。
しばらく使ってみて、また詳しくは、ご報告できたらと思います。
◇まとめ
ネットの様子を見ていても、そんなに売れているようではありません。
2ちゃんのスレも、そんなには進みませんし、価格コム、アマゾンなどにもレビューやコメントがほとんど上がっていません。
広告は、けっこう見かけるのですが、大丈夫でしょうか(^_^;)
まあ、普通の人が買う商品ではないでしょうから、しかたがないのかもしれませんが。
実際、一般的な用途としては、ちょっと高価ですし、それほど使い勝手がいいものではありません。
やはり実験的な要素が強い商品だと思います。
もう一歩、いや、もう二、三歩といった商品ですが、これからの可能性を感じることはできます。
使ってみて試してみたいことは、まだまだたくさんあります。
無理のない範囲で、使いこなしてみて、面白そうなところを見つけていきたいと思います。
また、ご報告いたします。
コメント 0